MIPO

MANABE INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE

「主権者のいない国」

「・・・日本人の強固な政治不信、国家不信は歴史的記憶によって支えられているのだと思う。あの戦争のとき、国家は何をやったか?迫りくる都市空襲を目前にして「都市から逃げるな」と命じて住民を閉じ込め、蒸し焼きにした。「精鋭」関東軍は、満州移民を見捨てて一目散に逃げ去った。戦後の時代も同じことだ。水俣病が発生したとき、国家・企業・大学の御用学者は、鉄壁のスクラムを組んで被害の原因を否認した。同じことが、福島第一原発の事故においても起きるだろうと疑われるのは当然のことだ。土壇場において、この国の権力は、虐げられたものを救おうとしないし、自らの過ちを進んで認めることは決してなかった。

 ゆえに、日本人の根底的な政治不信は、ある意味で正しい。しかし、そのような政府しか私たちが持っていないこと、持たなかったことの責は、誰にあるのか?アメリカか?中国か?どこを探しても見つかるはずがない。

 内政外政ともに数々の困難が立ちはだかるいま、私たちに欠けているのは、それを乗り越える知恵なのではなく、それらを自らに引き受けようとする精神的態度である。・・・」

これは、次の本の終章に書かれた一部(317頁)です。

主権者のいない国
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000347253

ロシアがウクライナに戦争を仕掛けている今、日本はまた欧米各国に歩調を合わせてウロウロしています(「経済制裁」+「防弾チョッキ・ヘルメット」だけ?)。そもそも、日本は、欧米とは違う果たすべき役割があるはずですが、それを指導する政治家が誰もいないというのが、この国の現実ですね。それもこれも、主権者不在ゆえの結果なのでしょう。恥ずかしげもなく、一度引っ込んだ政治家が声高にまたあらぬことを発言をして、それを持ち上げる一部マスコミがいるということが、腹立たしいです。一体どういう精神構造でしょうか?あの時、あんなに何回も会ってあんなに親しげな関係をアピールしたのなら、成すべきことはあるでしょうに⁉ ・・・ 恥ずかしくないのが理解不能です。