文化庁の生成AIの著作権セミナー
最近の流行りものにChatGPTがあります。このような生成AIが流行ると、行政書士の仕事はあがったりになるとかならないとか?
令和5年6月19日(月)文化庁が「AIと著作権」のセミナーをYouTubeによるライブ配信で行い、その講演動画と資料が、次のサイトにアップされました。
文化庁 令和5年度の講習会 著作権セミナー
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/93903601.html
ところで、AI開発・学習段階での著作物の利用について、著作権法第30条の4があったのですね。
(著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用)
第三十条の四 著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
一 著作物の録音、録画その他の利用に係る技術の開発又は実用化のための試験の用に供する場合
二 情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の解析を行うことをいう。第四十七条の五第一項第二号において同じ。)の用に供する場合
三 前二号に掲げる場合のほか、著作物の表現についての人の知覚による認識を伴うことなく当該著作物を電子計算機による情報処理の過程における利用その他の利用(プログラムの著作物にあつては、当該著作物の電子計算機における実行を除く。)に供する場合
今回の文化庁のセミナーの結論(サマリー)としては、次の事のようです(スライドの61,62)。
《AIと著作権の基本的な考え方》
AIと著作権に関しては、「AI開発・学習段階」、「生成・利用段階」、「生成物が著作物となるか」等の段階を切り分けて検討することが必要です。
《AI開発・学習段階》
AI開発のための情報解析は、権利制限規定により、原則として許諾なく可能です。
ただし「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」等は原則通り許諾が必要です。 《生成・利用段階》
AIを利用して生成した場合でも、その利用が著作権侵害となるかは、人がAIを利用せず絵を描いた等の場合と同様に判断されます。
侵害となる場合は、損害賠償請求や差止請求、刑事罰の対象となります。
既存の著作物と類似性がある生成物を利用する際は、著作権者の許諾を得て利用するか、全く異なる著作物となるよう、大幅に手を加えた上で利用することが考えられます。
《AI生成物が著作物となるか》
AIが自律的に生成したものは、著作物に該当しないと考えられますが、「創作意図」と「創作的寄与」があり、人が表現の道具としてAIを使用したと認められる場合は、著作物に該当すると考えられます。
AIが自律的に創作物を創るようになってくると、とても悩ましいことになりそうです。
昔、仕事で、自動作曲の発明を扱ったことがありましたが、自動作曲機が自律的に自動作曲して、自律的にその楽曲をYouTubeにアップして(今はそんなことできませんが)、それが流行したら、さて、果たして誰が儲けるのですかね?
自律的に、コンピュータからコンピュータへ仮想通貨が動くようになれば、金持ちのコンピュータと貧乏なコンピュータができて、・・・・(その時、人は何をしているのかね?)