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長崎のいじめによる自死の記録。

2017年4月、私立長崎海星高校2年の男子生徒が公園で自殺をしました。いじめを示唆する遺書や手記が見つかったが、学校側は自殺との因果関係を認めようとせず、遺族である両親に不誠実な対応を繰り返しました。その5年間にわたる両親の闘いの記録です。

いじめの聖域 文藝春秋発行 (発売日2022年11月09日 著者石川陽一)

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163916224

とても重い内容で、いじめで亡くなった後の学校や県など行政との対立、地元ジャーナリズム問題など、まったくやるせない記録です。

驚くのは、学校が設置した第三者委員会の報告書を、学校が認めない(受け入れない)といった前代未聞の事態です。

そして、この事件はまだ続いています。その一つは、遺族の両親が学校側を訴える訴訟がやっと始まった(2022年11月4日、長崎地裁)ことです。

NCC長崎文化放送
「学校がいじめに対してずさん」海星高校いじめ自殺訴訟初弁論で母親が意見陳述 学校側は争う姿勢
https://www.ncctv.co.jp/news/111196.html

記事には、『訴状では「学校が適切ないじめ防止対策をとらず、1年半以上に及ぶ継続的ないじめで精神的な苦痛を受けていた」としています。学校が設置した第三者委員会は2018年に「自殺はいじめが主な要因」とする報告書を提出しましたが、学校はこれを認めず、遺族に寄り添った対応を怠ったなどとして3200万円余りの損害賠償や、学校のホームページへの謝罪広告の掲載を求めています。』とあります。

学校側責任者の自己保身と、それを受けた学校側の弁護士が白を黒とも言ってしまう、法律家としての良心もない態度は、一体なんなのですかね。特に、学校側に弁護士が絡むことによって、遺族と学校や行政との関係の亀裂が大きくなっています。弁護士は、クライアントの当面の利益を守れれば、それで良いと思っているのでしょうか?人としての良心は無いのですかね?子どもの自死を、訴訟で決着つけないといけないという現実は。
こういった学校側の態度(学校側の弁護士を含め)は、当面の利益を守ることに終始して、この学校の受験生徒数が減るなど長期の利益を失っているようです。当然、続けざまに自死する生徒が出ればそんな学校には行かせたくないのが親として当然の感情でしょう。

もう一つは、上記の本を書いた共同通信の記者石川陽一さんが、地元の長崎新聞の圧力をうけ、記者の身分をはぎ取られ、別のマスコミに転職せざるを得なくなっていることです。これは次のTansaに顛末が書かれています。

Tokyo Investigative Newsroom Tansa
https://tansajp.org/investigativejournal/9872/

何ということですかね? 学校が体面ばかり気にして責任を取らないというのはよくある話ですが、地元マスコミ(長崎新聞)が県などに忖度して記事を掲載しない挙句、配信元(地元紙は共同通信の株主となっているとか)の有能な社員を首にするという、負の連鎖は。

継続して、ウォッチングしていく事案ですね。

しかし、子どもたちをいじめる側=加害者にもいじめられる側=被害者にもしてはいけないのは、まわりの大人=監督者の責任(子どもに寄りそってあげること、いじめに気づいてあげること、ことがおきたら守ってあげること、現実から退避して脱出もできることを教えてあげること、子どもと一緒に闘ってあげること)ですね。 腐った大人がいるから子どもが腐るのですよ! 魚は頭から腐る( ゚Д゚)