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The Eternal Memory という映画

映画館で、「The Eternal Memory」という映画を観ました。

映画『エターナルメモリー』公式サイト
https://synca.jp/eternalmemory/

公式サイトの紹介文によると、

著名なジャーナリストである夫、アウグスト・ゴンゴラと、国民的女優でありチリで最初の文化大臣となった妻、パウリナ・ウルティア。20年以上に渡って深い愛情で結ばれたふたりは、自然に囲まれた古い家をリフォームして暮らし、読書や散歩を楽しみ、日々を丁寧に生きている。そんななかアウグストがアルツハイマーを患い、少しずつ記憶を失い、最愛の妻パウリナとの思い出さえも消えはじめる―。本作は、アルツハイマーを患った夫アウグストと、困難に直面しながらも彼との生活を慈しみ彼を支える妻パウリナの、ささやかな幸せにあふれる丁寧な暮らしと、ふたりの愛と癒しに満ちた日々を記録した感動のドキュメンタリーであり、真実のラブストーリーだ。

これは、ドキュメンタリーであるという。映画では、ゴンゴラ(夫)が鏡に映った自分に対して、話しかけても相手(自分の鏡像)が反応しないのを奇異に、或いは恐ろしく感じたり、いつも面倒をみてくれるウルティア(妻)を「あなたは誰?」と言って困惑させたり、午前中には認識できなかった妻を午後になったら認識できるようになるが、午前中のことを完全に忘れていたり、健常な人にとっては想像に絶するシーンがいくつも出てくる。

そういえば、年配の人が病で入院した結果、心身ともに弱り、身内の人に対して、「あなたは誰ですか?」と真顔で問うようになってしまうことなどよく経験する。その原因がアルツハイマーかどうかは知らないが、年配者がいる家族間では、どこにでもある日常だろう。

そのような日常が、ドキュメンタリーとして、この映画では撮影されているのである。以前の若かりし日々の映像とともに編集されて音楽がつけられて、一つの作品となっている。チリの独裁政権と戦ったジャーナリスト・ゴンゴラが、残念なことに、このようなアルツハイマーを患い、そして近年のコロナで外界との接触が遮断されていく中で、結局2023年に亡くなってしまった。ウルティアは、いつもゴンゴラに献身的であり、少なくとも映像の上では、二人は穏やかな日々を過ごす。ウルティアは、ゴンゴラが亡くなった後も、彼との記憶を胸に、これからも生きていくのであろうことは容易に想像がつく。

いずれにしても、アルツハイマーとはかくも厄介で、もし自分がなることに恐怖を抱き、またパートナーがなったら、相手に平常な心でいつまでも対応できるのか、自分がそのような相手に我慢できるのかが問われる難儀な病に違いない。平凡な日々を過ごす私たちにとっても、もし、アルツハイマーを患ったら(他の病気でも同じではあるが)、どう覚悟を決めるのか、そして、パートナーとの関係ができるだけ穏やかに過ぎて寿命を全うできるようにどう努めていくのか、そしてこれまで生きてきた証しを次代にどう伝えるのか、いろいろ考えざるを得ない。

老いることは、楽しいのであろうか、苦しいのであろうか? いずれにしても、晩節を汚さずに天寿を全うするのは実に困難なことと思う。しかし、未だに、終活をする気にもならない自分がいる。 

さて?