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鎌田慧セレクションー現代の記録1「冤罪を追う」

つい最近まで、このようなルポライター鎌田慧さんがいらっしゃることをMIPO代表は知りませんでした。己の不明を恥じます。

シリーズの第1作は、冤罪についてであり、特に財田川(さいたがわ)事件を扱った「死刑台からの生還」や、狭山事件、袴田事件など幾多の冤罪事件についての論考が採録されています。冤罪とは権力犯罪です。刑事事件は有罪率が99.9%といわれます。しかしその中に、冤罪の汚名を着せられた無実の人が何人もいます。警察や検察がお粗末なのはいつものことですが、呆れるのは、ずさんな捜査や無理矢理の自白、時にはでっち上げ、そして重要な証拠をいつも隠すことを見抜けない裁判所、判事の姿です。

自白以外に証拠がない(曖昧な)とき、被疑者を犯人としてはいけません。警察や検察の発表を鵜吞みにしてはまずいですし、お先棒を担ぐマスコミ発表を真に受けてはいけません。

判事も検事も弁護士も、みな司法試験に合格し、優秀であるが故に、一般の常識が通じない法律の世界に生きる彼らがやらかしてきた犯罪がこれまでにいくつも暴かれています。

https://libro-koseisha.co.jp/society_education/978-4-7744-0841-5/

先日、やっと袴田巌さんは再審で無罪が確定しました。でも狭山事件の石川一雄さんはまだ再審で無罪となっていません。字の書けなかった人が脅迫状をかいたり、家宅捜査で探してなかった鴨居から万年筆が出てきたりする、いかにもでっち上げであることが明々白々であるにも拘らずです。なぜですか?法律の世界に逃げ込まずに、合理的に物事=事件を判断しましょう!

さて、このシリーズは、全12巻でこれから次々刊行されるようです。鎌田慧さんは、今日の病理を、色々な観点から鋭く掘り下げて、そして、現場からの声を克明にルポしているので説得力がとてもあります。また、その文章がとても読みやすく、時に、その文章は心に沁みます。 

次号以降がとても楽しみです。