鎌田慧セレクションー現代の記録3「日本の原発地帯」
シリーズ3作目です。この本では、3.11の事故が起きるずっと前の、原発を造るときからの原発問題(原発反対運動とその分断の歴史)を扱っています。

この本では、原発を造る時から、ウソとカネの癒着構造があったことがはっきりと描かれております。それを全国の原発、それぞれについてルポされています。
なぜ、地震大国の日本でかくも多くの原発が造られてきたのか?反対をする人はいなかったのか?
この疑問が解ける一冊です。電力会社のキタナイ金と地方自治体の幹部との癒着や個々人の損得勘定によって、民衆は分断され続けてきたのです。反対運動は、収束させられ、ごく一部の反対住民が残るだけとなりました。これは、3.11が起きるずっと前の歴史ですが、3.11が起きて反省をしたかに見えたこの国の政治家も、喉元過ぎれば熱さを忘れ、今また原発の新増設などと権力者はのたまわっています。
この本のあとがきの「国を滅ぼす原発総動員体制」の最後の文章(これは出版時の2024年のものです)には次のようにあります。
-原発は電力会社の経営させている国家的事業である。破綻したはずの棟虚o電力が黒字企業として残っている。政府は更に原発を新設させようとしている。その経費も電力料金に加算させる。電力会社と電機会社とそれら労組を背景に持つ、国民民主党が、石破首相に原発の新増設を進言した。原発に批判的だったはずの石破首相、いまは反対を唱えなくなった。ー
とあります。暗澹たる気持ちです。