先に参照した本田由紀さんの著書「『日本』ってどんな国?」(ちくまプリマ―新書、2021年10月10日初版)には、経済の話も載っております。この中で、次のグラフが、日本の企業の国際競争力がこの30年で大きく変化したことを示しております。
なぜ、日本企業はかくも競争力がなくなってしまい、時価総額ランキングのベスト50位には、トヨタ自動車を残すだけのようなことになったのでしょうか?
その理由として、この本では次のことが挙げられております。
- 日本の産業の構成の変化:製造業(第2次産業)からサービス業(第3次産業)への従事者の移動がおき、日本のサービス業効率が悪く、賃金が相対的に低い。
- 非正規雇用の拡大:非正規雇用と正社員との間の労働条件の格差が他国と比べて大きい。
- 変革への積極性や柔軟性を失って沈滞した考え方や行動様式が経済界の中に広まってしまっている。
その他いろいろな要因があろうかとは思いますが、今後ますます重要となるサービス業の内容や体質の変革、働く人の賃金の適正化等々によって、人々の労働の意味、価値を変化させることが、結局、この国のあり様を変化させていくことになるのでしょう。