商社も特許侵害!!
特許法第2条第3項第1号は次のように規定されています。
3 この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。
一 物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為
つまり、特許が「物」の場合は、権限がない第三者による生産のほか、使用、譲渡(つまり販売など)、輸出入等のすべての行為が全て侵害行為となってしまいます。
通常は、侵害の紛争や訴訟は、特許権者と物の製造者つまり、メーカーとの間で争われ、決着をつけるのが一般的です。しかし、以前にも(2021年11月10日)このサイトで取り上げましたこの大手案件は違っていて、メーカー(中国・宝山)のほか、ユーザー(トヨタ)や、中間の商社(三井物産)まで提訴されております(日経新聞の2022年4月29日記事)。
特許法上は、皆さん提訴されるリスクはありましたが、さすがに、記事にも指摘されている通り、商社まで提訴の対象とするのは珍しいようです。しかし、これからは、こういった商社も特許侵害紛争や訴訟に巻き込まれるリスクがあることを想定して、ビジネスを進めることや、自社の法務体制を整えておくことも必要になってくるようです。